嘗て鮭、鱒の遠洋漁業船団の基地港として賑わった津田漁港、しかし現在では後期高齢の漁師、輝彦と同年代の漁師数人で地引網漁や定置網漁を細々と続けているだけとなり、漁協も近隣の港との統合も噂されている。そんな状況でも頑なに漁を続ける輝彦の日課は毎朝海岸に出て海を眺め、そこで同じ様に散歩する幼馴染で水産会社会長の勢津との何気無い朝の挨拶を交わす事。そんな港にコロナ不況で倒産したホテルの社宅を追い出され、家族の支援も無く生活用品を車に詰め込み車上生活者となりたどり着く信一だが…ある朝、車の中で爆睡していると、港の猫に餌をあげに来た水産会社の海外技能実習生のインドネシア人、SireBornに死体と思われ通り掛かった輝彦を巻き込んで大騒ぎになる。老いた二人の幼馴染、仕事を失った青年と仕事を学びに来たイスラム教徒の外国人少女、「叶えられなかった想い」「諦めなかった想い」「叶わない想い」「諦めた思い」それぞれの想いが巡る人間模様をこの町で生まれて育ち、この海を愛している脚本・監督を務める三好冬馬が拘り抜いた美しい映像で綴るヒューマンラブストーリー。